2008年10月12日

【新刊書評】検索で変わる知の革命―野口悠紀雄『超「超」勉強法』

おはようございます。

昨夜焼肉を食べすぎて胃も心もすっかりグロッキーのサンシローです。
それにしても「げんかや」って本当に安いんですね!最初に840円の入場料は払いますが、その代わり料理が全品異様に安いという。これは食べ過ぎてしまうわけです…

さて、本日ご紹介するのは往年のベストセラーの続編、野口悠紀雄さんの『超「超」整理法』です。検索技術の発達で、これまでの分類する整理法は完全になくなったという興味深い1冊です。

大ベストセラーの続編ということもあり、逆に色々な意味で敬遠されている方もいるかもしれませんが(私もその一人でした)、マインドマップ的読書感想文のsmoothさんも紹介(【超】『超「超」整理法』野口悠紀雄)されている信頼のおける1冊です。

超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー
超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー野口 悠紀雄

講談社 2008-09-18
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おすすめ平均 star
star良書でした
star第3章までならば星5つ
star整理するな、検索せよ!

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【目次】

 第T部 デジタル・オフィスの作り方
  第1章 Gメール革命
  第2章 デジタル・オフィスはオンライン
  第3章 紙との共存

 第U部 IT時代の知の技法
  第4章 検索を制するものは知を制す
  第5章 検索は知のスタイルを変える
  第6章 新しい時代における知的作業の本質は何か?
  第7章 新しい知的生産術

 第V部 知の産業革命
  第8章 日本で知の産業革命が起きるか?


本書を貫く思想は「分類するな、検索せよ」という主張です。一つ一つ様々な属性を持つ書類を分類することは不可能という見地から「分類するなひたすら時系列に並べよ」と主張したのが前作『「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)』です。

これに対し、『超「超」整理法』は、Googleに代表される検索技術の発達により、もはや時系列に並べる必要もなく、検索だけすればよくなったと言います。分類という労力の割に成果の低い作業は排除し、八割原則「マドルスルー(切り抜ける)」するという考え方は、本田直之さんの「レバレッジ」にも通じる思想です。

第T部では主にGメールをテーマに、検索を中心にした仕事術が紹介されています。「人名をキーに検索する」「全てのファイルを保存し自分データベースを作る」など、方法自体は既にGメールを使用している方にとっては基本的な内容です。

しかし、ひとつひとつ「今までの方法よりどこが優れているのか」「これによって仕事のやり方がどのように変わるか」「問題点はどこか」など詳細に分析されていて、学ぶべきところは多いです。

第U部では、検索の方法論について更に掘り下げた解説がされています。個人的には、この本の真価はこの検索の方法論にあるのではないかと思います。

まず野口さんは検索エンジンの登場により、今必要なのは「情報をどう集めるか」ではなく「余計な情報をどう遮断するか」であると言います。その際重要なことが「仮説を立てる」ことだと言います。

例えば、ソ連のバレエダンサー「ヌレエフ」が1961年に亡命した理由を調べたい時。「ヌレエフ」「亡命」で検索するだけでは十分に情報を絞り込めません。そこで例えば「ヌレエフは共産主義の束縛に耐えられず亡命した」という「仮説」を立てて、「ヌレエフ」「亡命」「共産主義」などと入力して情報を絞り込むというわけです。

この「仮説を立てる」ということは非常に重要です。普段私たちも、検索結果に満足がいかない時は何となくやっていると思うのですが、「仮設を立てる」とコンセプト化することで、より意識的に取り組むことができるようになります。

野口さんはこの他、次のような効果抜群の検索術を紹介されています。

・昇り降り検索
 検索したい対象の「名前」を忘れてしまった場合は、その対象が含まれていると
 推測される「部屋(集合)」を見出して、そこに一旦「昇って」から検索する。

・使える「部屋の名前」を知っておく
 検索したい対象が入っていそうな「部屋の名前」を知っておくと便利。
 例)「賞」「ランキング」「人気」「トップ」など。

・八艘跳び検索
 データベースを介していくつかの集合を渡り歩き、普通ではとても探し出せない
 データに辿り着く方法。


これは本質的な「使える」検索術です。例えば私の例ですが、バットマン最新作のジョーカー役の俳優の死亡の原因を知りたいとします。まず映画のタイトルも分からなかったら、「映画」「ランキング」「人気」などで検索し、映画名が入っていそうな「部屋(集合)」に「昇り」ます。

次に探している映画が「ダークナイト」と分かったら、次は「ダークナイト」のサイトに「降り」ます。するとジョーカー役の俳優の名が「ヒース・レジャー」であると分かります。

最後に「ヒース・レジャー」「自殺」「ニュース」などで検索すると、自殺の経緯が書かれたニュースサイトが発見できます。(データベースを渡り歩く「八艘跳び検索」)それでついにヒースの死は、処方箋薬の薬の過剰摂取による事故が原因と知ることができるのです。(因みにヒースの死については自殺の説もあります。)

この本では上記のような検索術の他にも、デジタル時代における知的生産術が盛りだくさんに紹介されています。また第V部では「日本で知の産業革命が起こるか」をテーマに、今の日本企業の問題点が取り上げられマクロ的な視点における知の変化のあり方も知ることができます。

【感想】

この本の面白い所は、タイトルが『超「超」整理法』なのに、実際の「整理法」にはほとんど触れられていない所です。しかし、その「整理法に触れない」という所こそが、この本の本質を現わしていると思います。

冒頭に書いたように、野口さんは「分類」というものを否定します。書類には複数の属性があるんだから分類による「整理」は不可能だと。そこからかの有名な、分類せずにひたすら時系列に書類を並べる「押し出しファイリング式」が生まれたと言います。そこが前作が「超」整理法と呼ばれた所以だと思います。

しかし、検索エンジンの発達によって今度は時系列に「整理」していく必要すらなくなった。データはただ保存さえしておけば、後からいくらでも検索して必要な情報に辿りつけるようになった。まさに時系列という「整理」すら必要なくなったという意味で、『超「超」整理法』なわけです。

つまり『超「超」整理法』とは、「整理の必要が全くない整理法」を提唱しているのです。

私自身は、古典的な「分類整理派」だったので少々抵抗がありました。私が分類整理を採用する理由は、「分類整理をすることで頭の中も整理される」と考えるからです。この点に関してはひとつの側面で正しいと思っています。

しかし、野口さんの主張で目から鱗だったことが、あるファイルを既存のフォルダに分類してしまうと、「既存のフォルダで決められているラベルが唯一のものとして考えてしまう」という意見です。

これはなるほどなと思いました。ある書類やデータは様々なラベルを貼れる可能性があるのに、ひとつのフォルダに無理やり分類することで、その可能性を奪ってしまうのです。「固定的なフォルダ分類は、多様な可能性を葬る」のです。

分類整理は頭の整理になりうる。しかし、それによってデータの自由な属性を押し殺してしまってはいけない。むやみに分類するのではなく、情報の自由な可能性を広げることも大切だ。そんな貴重な忠告を教えてくれる素晴らしい本でした。

【効く!コトバ】

「多くの人は『白鳥』を『鳥』としてしか捉えていない。しかし、白鳥をほかの分類で考えることは、十分可能である。たとえば『美しい生き物』という分類がありうるのだ。そうした発想がないかぎり、バレエの『白鳥の湖』は決して生まれなかっただろう」(P.193)

↓↓↓↓↓ 詳細はこちら
超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー


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posted by サンシロー at 10:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネススキルの悩み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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